寝室の中には、張り詰めた静けさをなだめるような淡い音楽が漂い続けていました。
由香里は顔を上げて息を小さく飲み込むと、少し離れてベッドの端に座った少年に声をかけました。
彼は頷いて妻と肩が触れ合う程に近づきましたが、握り締めた手は膝の上に置いたままです。妻は、祐希の耳元に顔を近づけて何かを話しかけました。彼はその度に小さく頷き、時折、緊張を誤魔化すように笑みを浮かべます。
手は落ち着きなく握ったり開いたりを繰り返していました。妻は少年の指先を慈しむように手を重ね、彼の肩に頬を乗せたのです。
傍らで二人を見つめる私でさえ、喉が萎縮して息が途切れそうになりました。これから初めての性体験を迎える少年にとっても、彼が生涯忘れることのない女性となる妻にとっても、一緒に迎える体験への期待と戸惑いが絡まり合っているのでしょう。
二人は暫く無言のまま互いに手を重ねていましたが、やがて由香里は祐希に寄り添うように体を傾けると、顔を少し上げて目を閉じました。唇が微かに二、三回動いて何かを呟きます。彼は黙ったまま頷くと、妻に顔を向けながら近づけたのです。
互いの唇が、相手の柔らかな輪郭に触れ合いながら交差します。それまで流れ続けていた時間が刻みを忘れたかのように、唇を重ね合う二人の周りを包み込んでいました。
いつの間にか、祐希が膝の上で握り締めていた手からは力が抜け、行き場を探すかのように指先が動きます。
由香里は重なり合った唇をゆっくりと離すと、祐希の顔を覗き込みながら何かを小声で語りかけました。少年は虚ろな目で妻を見つめて小さく頷くと、両手を彼女の背中に回して自分の方へと抱き寄せたのです。
顔を由香里の首元に埋め、唇から突き出した舌をうなじへと沿わせます。妻は思わず首をすくめて体を強張らせましたが、少年の火照った舌先は初めて触れる女性の肌を求めて妻の首筋を這いずりました。
祐希の熱い吐息を由香里は耳元で感じながら次第に顔を上に反らし、身を捩らせます。祐希の背中に回した細い指先が、もがくようにバスローブを掴みながら彼の体を抱き締めました。
やがて二人の舌は重なる唇の中で互いを求めて絡み合い、微かな喘ぎの混じった息を漏らします。祐希は、バスローブを着た由香里の胸元から手を中に入れ、その奥にある乳房の肌に指先を這わせたのです。
一瞬、妻の体が微かに硬直し、背中を後ろの方へと反らしました。女性の肌を初めて這う未熟な指先の動きは、由香里にとっても今まで経験したことのない未知の昂りを誘うものだったのかも知れません。
私は隣のベッドから二人を見つめたまま、次第に硬さを増す下腹部の強張りに手を伸ばしました。体の中を、少年の鼓動や息遣いと同じ刻みが巡り始めます。
由香里… 私が10代の頃に憧れ続けた場面が見れるんだね…
夢想の中で描いた様々な出来事を、彼が私の代わりに叶えるんだね…
少し前まで戸惑いと焦りが入り混じっていた少年の目は、いつの間にか欲望の捌け口として由香里を狙う目へと変わっていました。それまでは、隣のベッドにいる私を気にしている様子でしたが、もはやそれすら忘れて、昂る感情に支配されていたのです。
祐希は由香里の上に覆い被さってベッドに横たえ、何度も手をバスローブの裾から中へ入れようとしました。その度に妻は両脚を閉じるように折り曲げ、彼の指に手を重ねて動きを制します。
少年の息遣いは早さを増し、渇いた口の中に浸み出す唾を喉の奥へと飲み込みました。乱れた呼吸を弾ませ、哀願するような目で由香里に許しをせがんだのです。
妻は自分の体を求める祐希の目を愛おしそうに見つめながら、指先で彼の頰に触れました。潤んだ瞳の中に滾る若い欲望に、今まで経験した男性とは違う高鳴りを感じているのでしょうか。
由香里は隣のベッドにいる私に顔を向け、唇の動きだけで何かを伝えようとします。私には、言葉を交わさなくても妻が言いたいことが分かりました。小さく頷いて、彼女がこれから少年と交わす淫らな行為の全てを許したのです。
>> 体験告白や官能小説をもっと見る(FC2 Ranking)>> アダルトブログをもっと見る