その日の私は仕事も手に付かず、何度も時計を見ながら焦りと苛立ちを感じていました。
あの少年は、私以上に時間の経過を遅く感じているんだろうな…
つい先日までは見ず知らずの彼と、今は同じ焦燥を共有しあうことに、不思議な繋がりを感じていました。
夕方、定時で会社を出ると、近くの小さな公園の隅で鞄から携帯を取り出しました。
深く息を吸い、祐希に伝えるべきことを整理してから彼に電話をしたのです。
彼は僅か2回程のコールで電話に出ました。
「祐希です。川島さんですか?」
彼は、私に緊張を悟られないように装いながらも声は上ずり、その後の言葉が続きません。私からの結果報告は、彼にとって判決と同じ意味を持つのです。
「祐希くんのことは由香里に全て話したよ… 妻は一度、祐希くんと逢ってから決めたいって」
「そうですか… 了解はまだ貰えていないのですね… あの… 僕の写真を由香里さんに見せてくれたんですか?」
「写真だけじゃ祐希くんのことは判らないからね」
「そうですよね… 由香里さんにしてみれば、相手は誰でもいいわけじゃないし…」
電話の声は明らかに沈んでいました。結論が先延ばしにされたことへの落胆と、由香里と会った時に断られることへの不安が彼の気持ちを落ち込ませているのでしょう。
「あ… あの…」
彼は私に何かを尋ねようとしましたが、途中で言葉を止めました。
「何でも遠慮なく聞いて構わないから」
「ありがとうございます。由香里さんに、僕がセックスの経験が無いことを話しましたか?」
「もちろん話したよ」
「だからかな… きっと経験が豊富な相手じゃないと物足りないから… 僕なんか年下過ぎるし、始めから相手になんかしてもらえない気がします」
「そんなことはないよ。由香里は今まで何人かの男性とセックスしたけど、童貞の子とは経験が無いんだ」
彼は黙ったまま私の話しを聞いています。
「初体験の男性とのセックスは、由香里にとっても初めてのことなんだ。だから迷いながらも、祐希くんと逢ってみようと思ったんだよ…」
私が話し終えた後も、彼は暫く無言のまま何かを考え込んでいます。私と会ったあの日から抱いた期待が次第に不安へと変わり、事が進もうとする今になって自信を失っているのでしょうか。
「可能性が無きゃ、最初から由香里も祐希くんと逢おうなんて思わないよ」
「本当に期待しててもいいんですか?」
「絶対ということは無いけど、祐希くんなら大丈夫だよ」
私はその後に続けて、最も大切な前提について、彼に念を押しました。
「由香里とのセックスは、私の見ている前ですることが条件なのは覚えているよね」
「はい、判っています。それを拒めば、元々この話しは無かったんですよね」
彼は私と交わした約束を忘れてはいませんでした。
「他にもあるよ… 友達とか周りの人にも、絶対にこのことを話してはいけないからね。もちろん、由香里の写真を見せても駄目だよ」
「はい、川島さんに言われた事は必ず守りますから。僕を信じて下さい」
それは私にとって心地よい言葉でした。
未成熟な子供が妻とセックスをしたいがために私の指図に従う…
私の機嫌を損ねないように気を使い、言い付けを無条件に受け入れる…
私が初めて他人に妻を差し出した時は、気付かぬ間に相手の岩崎の思惑に従っていたのかも知れません。自分自身の意思で決めたと思っていることですら、もしかしたら彼が差し出した選択肢の上を夢中で進むだけだったのではと思う時があるのです。
しかし今、電話で話す少年にとって私は欲望の支配者であり、願望を遂げさせてくれる無二の存在です。
たとえそれが、彼にとって目の前に差し出された由香里とのセックスを叶えるためであっても、私が彼を思うままに服従させることが出来る主であることに違いはありません。
今回は私が全てを仕切るんだ…
相手が性経験の無い少年であれば、それが容易く出来るんだ…
私は彼と話をしながら、心の中で自分の理想を叶える筋書きを想い描いたのです。
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