祐希との約束の土曜日、私と由香里は昼過ぎに家を出て、車で渋谷に向かいました。待ち合わせの時間は夕方なのですが、それまでの時を妻と二人だけで過ごしたかったのです。
今日の目的は、あくまでも妻と祐希を会わせるためだけです。
その上で由香里が彼をセックスの相手として受け入れたら、翌週の土曜日にホテルで一夜を共にする計画に変わりはありません。
由香里の服装は私からの願いで、涼し気なブラウスと短めのスカートにしました。
少年から見て年上の女性らしい装い… それは、かつての私が思い描いた理想の人妻そのものでした。
由香里は性の対象として祐希の視線を受けることを次第に意識し、車の中でも落ち着かない様子です。
清楚な人妻としての姿を纏う由香里を前して、何の性経験も無い少年はどのように振舞うのだろう…
想い描いた儚い願望を叶える相手として、彼はどんな視線で妻を見つめるのだろう…
約束の場所に近付くにつれ、私の中を巡る想いは、祐希が抱く願望と重なり合うように同化していったのです。
「ねえ… もし私が拒んだら、彼を傷付けちゃうんだよね…」
「大丈夫だよ… それも彼にとって経験の一つだから」
それは私の無責任な言い訳でした。由香里の体を祐希に与えるのは、私の願望と妻への新たな性体験のため 彼の性的欲望をセックスで満たすことが目的ではないのです。
由香里が最終的に祐希を受け入れなかった場合、私は冷酷に彼を切り捨てて、他の相手を岩崎に紹介してもらうつもりでした。
ですが、既に私自身が彼に対して感情を移入していることに間違いはありません。どうか妻が彼を受け入れてくれるよう、心の中で何度もその事を願っていたのです。
私はコンドームをポケットの中に隠し持っていました。それは、もし予定が変わって今夜、二人が性の関係を持つことになった時に備えるためです。
駅から少し離れた駐車場に車を停め、繁華街の通りを由香里と並んで歩きました。
土曜日の午後の渋谷は、行き交う10代の若者で溢れています。この大きな街に彼らが何かの期待を抱きながら集まる姿は、まるで10数年前の私と交錯するようです。
由香里は緊張を紛らそうとしてか、他愛もない話を続けました。私自身も、次第に約束の時間が迫るにつれ鼓動が高まり、妻の話に対する返事も殆んどが上の空だったのです。
街中で目にする高校生のような男子の姿は、普段の有り触れた光景の筈でした。しかし今の私にとって彼らは、由香里との性行為の相手となりうる存在です。
何人かの高校生や大学生が、由香里の姿を目で追うように眺めます。道端にたむろする若者の中には、由香里を見ながら仲間同士で意味あり気な笑みを浮かべている者もいました。
彼らの中の誰一人として、彼女が夫の目の前で他人に抱かれ、滾る精を体の中に受け入れた女性とは夢にも思わないでしょう。ましてこれから性の行為を前提として10代の少年と逢うとは、想像すら出来ない筈です。
夫である私が企てた今日の待ち合わせは、彼らですら思いもよらない背徳と不貞にまみれた禁忌の出逢いなのでした。
私は欲望のままに理性を見失っているのでは…
少年の欲望を煽ることで、自分の身勝手な願いを遂げたいだけなのでは…
由香里は私にそそのかされ、大きな後悔を背負うのでは…
不意に沸き起こる躊躇いですら、私の中に込み上げる願望を遮ることは出来ませんでした。
魔性に満ちた誘惑の先にある恍惚の悦びを知り始めた私には、引き返すという選択肢は無いに等しかったのです。
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