妻の隣りに座る祐希は、私にとって過去の自分を映し出す鏡のように思えていました。
彼に与える由香里の体は、10代の頃に人妻に恋い焦がれながらも、その願いを叶えられなかった私自身に対するものでもあるのです。
「祐希くん… 判っていると思うけど、避妊はきちんとして欲しいんだ。コンドームは知っているよね」
「はい… だけど、見たことはありません」
私は上着のポケットに入れていたコンドームを取り出し、祐希に手渡しました。
彼は戸惑いながら、アルミのラミネートに包まれた避妊具を見つめます。
「あ… あなた… 今、そんなものを彼に渡さなくても」
「これは大切なことだから、祐希くんにきちんと知っておいて欲しいんだ」
私の言葉はただの「偽善」に過ぎませんでした。
本当は、あどけない彼の未熟な性経験を弄ぶことで、岩崎のように他人の欲望を支配する側に立ちたかったのです。
「封を切って中のものを出してごらん…」
祐希は縺れるような指先を抑えながら、避妊の膜を摘み出します。
透明なローションに濡れたゴムが、手の中で妖しい艶を纏います。
「セックスの前に、この膜を祐希くんの勃起した性器に被せるんだ。射精した精液が妻の中に入らないようにね」
少年は頷くことすら忘れて避妊具を見つめます。
「真ん中の膨らみは、祐希くんが出した精液が溢れないように溜まるところだよ」
童貞の彼にとってセックスという行為は、手の届かない遠くにある妄想だけの対象でした。
しかし、由香里に対して使うコンドームを手にした彼にとって、私が口にした「射精」「精液」という言葉は、セックスがすぐ傍にあることを実感させるものだったのです。
行き場の無い欲望を満たそうと自慰に浸り、幾度も繰り返した射精の行為… それを傍らの人妻とのセックスで遂げる生々しい光景が彼の中に浮かんだのでしょう。
生唾を飲み込む彼の姿が、私の更なる欲望を煽ります。
「これを付けたら何も心配ないんだ… 由香里のことだけを想いながら射精していいんだからね」
彼は小さな声で「はい」とだけ答えました。
見かねた由香里が話を制しようとしましたが、私は再び「偽善」を取り繕ったのです。
「これは大切な『性の教育』なんだ。由香里のためにも、未経験の彼に最初に教えてあげるべきことだから」
妻はそれ以上、私を引き留めることを止めました。納得したからではなく、偽善に対して反発する言葉が見つからなかったからでしょう。
「このコンドームは私達夫婦が使っているものだよ。私の代わりに祐希くんが使うんだ」
「はい… 由香里さんが絶対に妊娠しないようにします。ちゃんと付けますから、だから安心して下さい…」
それはきっと私に対してではなく、妻に向けての言葉だったのでしょう。
彼にとっては、手が届くまで近付いた由香里とのセックスを、絶対に離したくない必死な思いだったのです。
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