私と祐希との間に有った性の道徳観に対する隔たりは、少しだけ縮まったのかも知れません。
もちろん、私が打ち明けた異質な性癖や願望を、性経験の無い彼が理解するのは難しいでしょう。まして、由香里が夫に従ってそれを受け入れていることへの戸惑いは大きいはずです。
ですが、少なくとも彼が漠然と抱いている不安を取り除くことは出来たのかも知れません。
悪意なんて初めから無いんだ…
ただ、妻を与える代わりに、君の純真さとあどけなさを利用させて欲しいんだ…
私が過去の自分を重ね合わせる対象として…
祐希は再び私に問いかけました。
「あの… 川島さんは今夜、由香里さんと… セックスするんですか?」
それは迷った挙句に彼の口から出たものでした。
「夫婦なんだからね… それは当然のことなんだよ」
彼は無言のまま返事をしませんでした。年若い彼なりの葛藤… 性の対象として心を魅かれる女性が、自分以外の男と愛し合う姿への激しい嫉妬と羨み… それは、私が心に抱く願望と本質は同じなのかも知れません。
しかし私にとっては心を掻き毟られる昂りであっても、彼には残酷で辛辣な痛ぶりでしかないのです。
もしかしたら、彼もいつかは私が魅せられた禁忌の至福に気付く時が来るのかも…
心の苛みと引き換えに得られる恍惚の悦びを知る日が訪れるのかも…
彼は再び黙り込みます。
「今夜、由香里を抱く時、彼女に祐希くんとのセックスを想い浮かべるように言ってあげるよ… 目を閉じて、祐希くんが好きだって想いながらセックスするようにって」
「ほ… 本当ですか。凄く嬉しいです… 由香里さんが少しでも僕のことを心に浮かべてくれたら」
それは、刹那の中に浮かぶ一片の願い事に縋り付くような言葉でした。
「嘘じゃないよ。祐希くんが今夜、私達のセックスと同じ時刻に由香里のことを想い浮かべながらオナニーしてくれたら、彼女も嬉しい筈だから」
「はい… きっと… いえ、絶対にそうします」
「今夜、たぶん12時頃だと思うよ。だから祐希くんもその時間に… ね」
「12時ですね… その時間に由香里さんも僕のことを想ってくれるんですよね」
私によって煽り立てられた少年の欲望は、10代の羞恥と戸惑いを打ち崩します。彼は上気した声で何度も私に念を押しました。彼にとって、互いの妄想を通してでも由香里と繋がり合えることは、胸のときめく大人の世界へ踏み出すことでもあったのです。
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