祐希は浴室を出ると、私達に背を向けて傍に置かれたバスタオルで体に付いた滴を拭き取りました。
なで肩で艶やかな肌は、彼がまだ青年になりきれてない未熟さを感じさせます。
「祐希くん、下着は付けなくていいから、そのままバスローブを着てこちらにおいで」
彼は無言で頷きました。本当は返事をしようとしたのに、緊張で狭まる喉につかえて声が出なかったのでしょう。
後ろを向いたまま、しきりにバスローブの合わせを気にしています。
「どうしたの?」
「いえ… あの… ちょっと待ってください」
私には、彼が勃起が収まらないのを気にしているのが分かりました。まだ、何も始まっていないのに、茎が硬直してバスローブの合わせを内側から突き立てていることが恥ずかしく、居たたまれなかったのでしょう。
「何かあったの?… 」
私は事情を察していながら、彼に問いかけを重ねました。それは決して彼を悪戯で追い込んでいるわけではありません。未熟で大人になり切れていない少年の、見かけとは正反対の熱い欲望の固まりを由香里に知って欲しかったのです。
「構わないよ… もう勃起しているんだね。気にしなくていいよ。当たり前のこと… 恥ずかしいことじゃないんだから」
祐希に言葉をかけながら由香里を見ました。妻は口元に笑みを浮かべて小さく頷きます。私は彼女に横目で彼への慰めを促しました。
「本当に気にしないで。むしろ一人の女性として嬉しいですよ」
祐希の表情は、由香里の一言で安堵のはにかみへと変わりました。彼は浴室で強張った茎を握り、欲望を我慢出来ずに手を動かしている姿を私達に見られていたことを、まだ気付いていません。
私は何気なく浴室の灯りを枕元のスイッチで消しました。
「祐希くん… そこに立っていないで、由香里の隣に来なよ…」
彼は私からの誘いを受け、少しの間を置いてから意を決めたように歩み寄ると、ベッドの端に座った妻の隣に少し離れて座りました。
妻は慌ててバスローブの合わせを指先で整えます。
少年の目線は落ち着きなく部屋の中を行き交います。枕元に置かれた避妊具の包みに目が止まった時、彼の中で高鳴り続けていた鼓動は更に早さを増し、隣にいる由香里の息遣いをも乱したのです。まるで、見えない緊張の糸が二人の間に絡み付いているかのようでした。
私は隣のベッドに横になり、枕元の照明を消しました。もはや私が妻と祐希の間を取り持つ必要はありません。
二人の体が結ばれる眩い場面を傍らで見つめ、心の中で永遠に残る記憶として刻み付けたかったのです。
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