途切れた会話を繋げようと必死に言葉を探す祐希の姿に、私は言いし得ぬ優越を感じていました。
岩崎に対して抱き続けた劣等感を埋める心地よい高揚が、私の卑屈な心の渇きを癒します。
暫くしてから店員がドアを開け、テーブルの上に注文した飲み物を並べました。普通のカラオケ客とは違う私達の様子を怪訝に思いながも、それ以上の事を詮索することもなく、個室のドアを閉じて出ていきました。
「祐希くん、妻に自己紹介してくれないかな」
私は緊張して目を伏せたままの彼に言葉をかけました。
「あ… あの… 大学1年生の祐希です。来週、19才になります。だけどいつも16か17くらいにしか見てもらえなくて」
彼は掠れた声を絞り出しながら、無理やり笑顔を浮かべました。
「川島由香里です。もうすぐ誕生日なんだね… 夫から祐希くんのことは聞いてます。こんなふうにして年下の子と会うなんて初めてだから、私も緊張してるみたい…」
妻は揺れ動く心を抑え、言葉を選びながら祐希に話しかけました。
他人と交わる不貞の妻…
その姿を夫に見つめられ、恍惚の極みに浸る淫らな妻…
妻がいくら落ち着きを取り繕っても、禁忌の行為を少年に知られている負い目と、性行為の相手としての幼さに対する戸惑いを隠せません。
私達夫婦の秘密を知っている彼は、どのような想いで由香里の隣りに座っているのでしょう。
「祐希くんにとって理想の女性は、どんな人なのかな」
それは、私から少年への問いかけというよりも、彼の願望を妻へ告白させるための誘いでした。
「優しい年上の人が好きなんです。30才くらいの人が理想です…」
由香里は、恥ずかしそうに答える彼の隣りで目を伏せたまま何も応えません。
私は少し焦りを感じていました。
「同じ年頃の女の子には関心がないのかな」
以前も私は彼に同じ質問をしました。
「どうしても年上の人を好きになってしまうんです… 由香里さんのような人に…」
彼は途中まで言いかけると、慌てて何度も「ごめんなさい、会ったばかりなのに」と繰り返しました。
由香里にとっては、むしろ彼のそんな姿が奥に秘めた母性を駆り立てたのかも知れません。妻は一瞬、微かな笑みを浮かべながら傍の祐希を見つめたのです。
「祐希くんの年齢だと、セックスへの願望が一番強い年頃だよね…」
彼は無言のまま頷きます。
「緊張しなくていいからね。祐希くんにとって由香里はどんな女性に見えるのかな」
「写真で見た時、凄い綺麗な人だと思いました。実際に会ったらもっと綺麗なんで… 嬉しいのと緊張で何を言っていいのか… こういうの、初めてなんで… ごめんなさい」
私は一気に話を進めようとしました。
焦りと期待に駆り立てられながらも、懸命に冷静さを装いながら問いかけを続けたのです。
「もし、妻さえ応じてくれれば、彼女とセックスしたいんだよね…」
祐希は言葉を詰まらせたまま頷きます。
由香里に顔を向けることすら出来ず、握りしめた手は膝の上で震えているかのようです。
「だったら… その気持ちをきちんと妻に伝えて欲しいんだ」
私はわざと苛立ちを込めて彼に語りかけました。由香里に対する少年の欲望を知った上で、自分のいる優位な立場を振りかざしていたのかも知れません。
もはや彼は、正直に願望を言葉にするしかなかったのです。
「ど… どうかお願いします…… 初めてだから、どうしていいか判りませんが、お願いします」
それは由香里の慈悲にすがりながら、今にも泣き出しそうな懸命の告白でした。
あどけない少年が性の交わりを妻に哀願する姿は、私の中に巣食う卑屈な優越を心地良く満たします。
由香里は私が目で頷くのを確かめてから、小さく「はい」とだけ返事をしたのです。
それは祐希にとっても、私自身にとっても、昂ぶる息を胸に詰まらせる思いで求めた応えそのものでした。
私はテーブルの上に置かれままの飲み物を手に取り、やがて結ばれる二人を至福の想いで見つめたのです。
>> 体験告白や官能小説をもっと見る>> アダルトブログをもっと見る