祐希が部屋を訪れるまでの僅かな間すら、私達夫婦にとっては時が刻みを停めてしまったように思えました。
由香里はバスローブの合わせを揃え、指先で髪の流れを整えます。口を閉じたままベットの角を見つめ、昂ぶる吐息を私に気付かれないように胸の中に押し返したのです。
今思えば、それは妻がこれからの出来事を覚悟した瞬間だったのかも知れません。ドアからノックが聞こえた時、彼女の肩が音に小さく反応しました。私はベットの脇から立ち上がり、ドアをゆっくりと開けたのです。
「こ… こんにちは…」
祐希は私と合った目を慌てて伏せ、上擦った声で会釈をしました。
彼は、先週の誕生日に由香里からプレゼントされたTシャツを着ていました。彼なりに、妻の好意に対する感謝の気持ちを表わしたかったのでしょう。
「そこに立っていないで、中に入りなよ」
私は感情を抑えた声で、祐希を部屋の中に入るように促しました。
彼は、バスローブ姿でベットの端に座る由香里を見ると、一瞬、唇を閉じて息を飲み込みます。幼い顔立ちの表情によぎる性の欲望を必死に隠し、妻に向かって顔を伏せるように会釈をしたのです。
由香里は祐希を気遣ってか、口元に笑みを浮かべて挨拶を返しました。彼にプレゼントしたTシャツを嬉しそうに見つめます。
「そのTシャツ、思ったとおり似合うね… よかった」
妻は、少年の緊張した心を解きほぐそうと言葉をかけます。
「本当は、ずっと前からホテルの前まで来ていたんです。もし、時間に遅れたらどうしようって心配で… 何回も時計を見て…」
彼は焦るあまり、言わずに隠そうとしていたことまで口にしてしまったのでしょう。慌てて話を止め、恥ずかしさと後悔で顔を紅潮させます。
「ありがとう… 祐希くんて素直で可愛いね」
由香里は優しい口調で少年に話しかけました。彼女は、もし自分が彼から蔑みの目で見られたとしても、その恥辱を受け入れようと心に決めたのでしょう。私の願望に従ったとはいえ、夫の見ている前で他人とセックスする淫らな妻だと思われることを覚悟したのです。まだ性経験の無い童貞の子供には、禁忌の悦びに魅せられた夫婦の情愛を理解出来る筈がないのですから。
「祐希くん、この前に話したとおり、今日のことは私が由香里を説得して、やっと承知してもらえたんだ。祐希くんとだったらセックスしてもいいって言ってくれたんだよ」
私は、妻と祐希の間に残された最後の迷いを断ち切りました。少年は私の言葉を心の中で繰り返し、由香里を見つめながら小さく頷いたのです。
彼はベットの枕元に置かれた数個のコンドームに気付きました。憧れ続けた性の行為が、手を伸ばせば届く間近にあることを実感したのでしょう。彼は目眩がする程の期待と昂りを、崩れつつある理性で必死に堪えようとしていました。
微かに震える手を握り締める少年の姿は、至福に満ちた甘美な優越を私に与えてくれたのです。
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