「実はまだ、祐希くんのことは妻の由香里に話してないんだ」
「じゃあ… きっと由香里さんに断わられるかも…」
「大丈夫だよ… 私がちゃんと話すから」
彼は少し不安げな表情を浮かべ、空になったラテのストローをくわえます。
身勝手な大人達によって煽られた性の願望が、彼の内側で鎮めることの出来ない大きな炎となっているのです。
「ちょっと席を変えようか… あそこの隅に」
岩崎に促され、私達は人が減った店内の更に奥へと移ります。
決して誰にも聞かれたくない、あまりに理不尽で欲深い大人の思惑は、彼の欲望を利用して自らの願いを叶えようとしているのです。
「私からの条件を岩崎さんから聞いてるよね」
祐希は目を伏せたまま頷きます。あどけない彼に対して妻を与える私自身も、緊張と焦りが口の中を乾かします。
「私が見ている前で由香里として欲しいんだ… 私に見えるように、が条件… 了解してくれるね」
彼は無言のままテーブルの淵を見つめています。
「祐希くんには理解出来ないことだと思うけど… そういう願望を持つ大人もいるんだよ」
「それを断ると… 今回の話しは無しにななるんですか…」
私は彼の選択肢を断つように頷きました。
祐希の中では様々な葛藤が交差しているのでしょう。かつて私自身が彼の年齢だった頃、年上の女性や人妻に対して同じ欲望を持っていたからこそ、手に取るようにそれが伝わってくるのです。
「判りました。だけど… それは二回目の時にして下さい… だって…初めてなのに、それを人に見られながらなんて… 無理です」
「二回目の時じゃ意味が無いんだよ… 私がセックス経験の無い祐希くんを、妻の相手に選ぶ理由が無くなってしまうんだから」
二択しか与えてもらえない彼は、助けにすがるような目で岩崎を見ます。
「川島さんと由香里さんの他は誰もいないんだから。恥ずかしいのは誰に対してかな」
岩崎を見つめたまま、彼は言葉を詰まらせます。
「だって、きっと下手だし… どうしたらいいかも判らないし…」
「それは由香里さんが教えてくれるよ、ゆっくりと優しく…」
岩崎の一言は、彼の内側で揺れる性の期待に火を付けます。
初めての行為を体の奥に受け入れ、妄想の中で描き続けた恍惚の果てを教えてくれる年上の女性…
慈しみの漂う甘い香りに酔いしれながら、溢れるように放たれる精の液を受け止めてくれる人の妻…
岩崎が誘う淫惑の光景が、祐希の中で妄想と現実が入れ換わるように浮かび上がります。彼は顔を紅潮させ、息を飲み込みながら頷いたのです。
私にとっては、最初から結論の判り切った交渉事でした。彼の羞恥や躊躇いなど、込み上げる性の欲を前にして、あまりに脆いものなのです。
駆け巡る期待と困惑に鼓動を早める祐希の姿は、私自身の欲望を写し出す鏡のように思えます。
由香里だって、この少年が悦楽に身悶える至福の姿を、愛おしく思うに違いない…
彼が注ぐ純潔な精液に、成熟した男とは違う恍惚を見つけ出すに違いない…
それは私にとって、少年を過去の自分に同化させ、もう一人の由香里を手に入れる利己的理想の実現だったのです。
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