岩崎とは交差点の先で別れ、私と祐希は二人で駅へ向かいます。
人通りの無い、足音が響くコンクリートの道を並んで歩きながら、彼が内面に抱える性の葛藤について問いかけました。
性経験の無い少年に対する優越や嘲りなどからではなく、彼が抱え込む欲望の深さに過去の自分を重ねながら告白を聞いたのです。
今まで抑え続けた若い性の欲が激しければ激しい程、妻が体の中に受け入れる祐希の強張りと精は、その想いが熱く濃縮されたものになるのでしょう。
「私も祐希くんの年の頃は、毎日、年上の女性のことばかり想ってたよ」
「そうなんですか… でも今は奥さんがいるから羨ましいです」
「一番セックスしたい年頃に彼女がいないのは辛いだろ… 私もそうだったから判るよ」
「はい…… そうです、辛いです…」
「私の場合は、年上の女性という叶えられない願望を自慰で処理するしかなかったんだ… 祐希くんもそうだろ?」
「はい… 他に方法がないし…… 川島さんも同じだったんですね」
祐希は殆ど毎日、年上の女性を想い浮かべながら自慰に浸っているそうです。高校の時の教師や、同じワンルームマンションに住むOL、近所に住む人妻の裸体を妄想の中に描きながら、行き場の無い白濁液を手の中で吐き出しているのです。
もちろん彼と私は年齢が10才以上も違いますし、性経験の有無も異なります。しかし、心の中で少なからず祐希に対して、ある種の共感に似た感情を持ち始めているのかも知れません。それは今夜会ったばかりの少年と、性に対するコンプレックスのようなものを共有しあったかのような不思議な感覚でした。
「オナニーする時は、アダルトDVDを見ながら?」
「はい… 見たいですけど、レンタルでレジに持っていくのが恥ずかしくて… それに高校生と思われて顔をじろじろ見られるし…」
「そんなの気にすることないよ」
「だけど、レジ係りが女の人だったりするし…」
彼と話しながら歩くうちに駅に着きました。
ターミナル駅は夜遅いのにもかかわらず、まだ多くの乗り換え客が構内にいます。私は改札の前で祐希と別れました。人混みに消える彼の姿を見ながら、今までも何度か過る疑念が浮かびます。
なぜ岩崎はこうまでして彼と由香里を…
妻の体を独占したいくせに…
何かの罠?…
まさか私に内緒で由香里が年下の相手を頼んだのか…
心の中を巡るそれらの思いは、願望を叶える期待との間に交錯しながら、かき消されていったのです。
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